EVENT REPORT

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だんだんと秋の香りが漂い始めた、夏の終わり。2017年9月30日、神奈川県は三浦半島の先端に位置する神奈川県立城ヶ島公園で「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」が開催されました。
これからの日本映画をつくっていく若手監督が、この日のために制作した3本の映画を上映し、映画への夢や思い、アイディアを語り合う一日。ワークショップやスタンプラリーなどの各種イベントの併催、三浦半島にゆかりの食を提供するフードエリアなど、一日を通して楽しめるイベントとなりました。

開場

心地良い天候に恵まれた当日、映画祭は午前11時に開場。特設会場となるピクニック広場に続く通路を進むと、映画祭のエントランスが見えてきます。

  • 公園入口に設置された味わいのあるチョークアート。場内にも多数設置され、温もりのある雰囲気を盛り上げます。
  • エントランスでは公式プログラムを配布していて、偶然公園に遊びに来ていたファミリーなども興味津々の様子。

「島のごはん」をたのしむ

エントランスをくぐると、まずは「島のごはん」と題したフードエリアがお出迎え。地元の人気店による新鮮な魚介や野菜など、三浦産の食材をふんだんに活かしたバラエティあふれる料理が提供されていました。

  • 開場直後から人気の「島のごはん」。島の豊かな恵みを味わえるのも野外映画祭ならではの魅力。
  • 開放的な空間で食べやすいようにパッケージングされた、人気店の特別メニューがずらり。
  • 魚介類だけではなく、豊富な農産物を活かしたバラエティ豊かな食彩もまた三浦半島の魅力。
  • 大人気の焼きたて本格ソーセージ。焼き上がるたびに「また買いそびれちゃった!」との声も。
  • 無料で提供された「海賊汁」。少し肌寒さを感じた秋の夕べに「おいしくて暖まる!」と大好評。
  • マスターこだわりの本格コーヒーはなんと待ち時間30分以上。「待った甲斐があります」と大満足。

「島のごはん」をたのしむ

フードエリアを抜けると、三浦半島の最南端に位置する絶好の立地ならではの景色に圧倒されます。相模湾を一望できる大きな天然芝生エリア「ピクニック広場」には、この日のために設置された特設スクリーン「星のステージ」が佇み、日暮れから行われる映画上映への期待に思わず心が踊ります。

  • さっそく特等席を確保し、芝生の上でのんびりしたひととき。「早く着き過ぎかなと思ったけど、こうした時間を過ごせるのもいいですね」
  • 子どもたちはいつだって元気いっぱい!思いっきり走って転べる芝生の上は、絶好のプレイグラウンド。

昼過ぎにもなると、映画祭を楽しみにやってくる人たちが続々と訪れ、会場はあっという間にいっぱいに。

会場周辺では、城ヶ島の名所を巡るスタンプラリーのほか、「Runtrip via」によるランイベントや、参加者同士で旅をつくる「トリッピース」とのコラボツアーなどなど、三浦半島の美しい自然を思いきり堪能しながら様々な人や文化と交流し、情報交換できるプログラムが揃っていました。

  • 公園の先に広がる岩場にある安房崎灯台。釣りや磯遊びの名所として古くから人気のスポット。
  • 宮川湾方面の景色。対岸の三浦半島には風車も見える。

映画の小屋

「映画の小屋」と名付けられたテントで行われていたのは、Tシャツやトートバッグに映画祭のロゴマークなどのオリジナルプリントを施してくれるシルクスクリーン体験や、今夜の映画祭の序章となる3監督のトークショーなど。

  • 昔ながらのマニュアル印刷機を操作し、シルクスクリーンの印刷体験。
  • 子どもたちもオリジナルのTシャツプリントに挑戦!うまくできたかな?

トークショーには、この日上映される3本の映画の監督たちが登壇。それぞれの視点から映画作りにかける熱い想いや、このあと上映される作品の撮影裏話などを披露してくれました。

作風も経歴も異なる3人の監督たちが、美しい自然と温かい人々に囲まれたオープンな雰囲気の中で各々の個性をぶつけ合い、ときに熱く、ときに冷静に映画やそれを取り巻く環境について語り合う、濃密な時間。これからの日本映画についても、それぞれ独自の鋭い意見を述べていたのが印象的でした。

サンセットライブ「Play with Earth」

相模湾に陽が沈み始めたころ、いよいよスクリーンのある「星のステージ」で、サンセットライブの演奏が始まりました。

臨場感あふれるライブサウンドとともに、スクリーンではこの日のために城ヶ島や三浦半島を舞台に撮影されたCINEMA CARAVANオリジナル映像「Play with the earth」の投影が開始。三浦市指定重要無形民俗文化財でもある「海南神社 夏例大祭」を始めとした、城ヶ島や三浦半島の歴史や自然や人々の暮らしにフォーカスし、CINEMA CARAVAN代表の志津野雷さんが旅の中で感じた、美しくもありどこか切ない、そして最後には温かい気持ちにさせてくれる、新しいスクリーン体験です。

ライブの演奏に導かれるように、場内で思い思いの時間を過ごしていた観客の皆さんも、一斉にスクリーン前に集合。スクリーンに向かうお客さんに話を聞くと、「ここまでも十分楽しめたけど、やっぱり映画が楽しみ」「映画が一番!」という声が聞こえてきました。準備は万端。ついに映画祭メインステージの幕があがります。

上映を控えた3名の監督に、現在の意気込みをお聞きしました!

高島優毅監督
『巣鴨救急2030』
高島優毅監督
こんなに素晴らしい場所で上映できて光栄です。緊張に次ぐ緊張でガチガチですが、僕がいくら緊張しても映像に関してはベストを尽くしてきたので、この緊張感のまま上映を迎えたいと思います。
林隆行監督
『浅草スマイル』
林隆行監督
普段映画に興味のない人たちにも観てもらえる機会になるのは嬉しいですし、何か衝撃感があれば嬉しいなと思います。上映中は、リラックスして観てもらえればと。
太田信吾監督
『大津 city 今恋心』
太田信吾監督
今年初めての野外映画祭なのでとても楽しみです。3年間ずっと撮り貯めていた映画の上映を迎えられて本当に嬉しいですし、多くの方が集まってくれたので、みなさんにどんな反応をいただけるのか楽しみです。

「星のステージ」映画上映

ライブ演奏が終わる頃には、すっかり辺りは夜の静寂に包まれて、遠くで鳴く虫やさざ波の音だけが聞こえるように。空を見上げると、満点の星空が広がっています。これぞまさに星空のスクリーン!

上映前の挨拶には城ヶ島の区長である石橋銀一さんが駆けつけ「今日をきっかけに、城ヶ島を忘れずに、たくさん来ていただきたい」と、城ヶ島の魅力をユーモラスに紹介し、会場を沸かせていました。幻想的な空間で、いよいよ映画の上映が始まります。

1本目に上映されたのは『巣鴨救急2030』。超高齢化社会となった2030年の日本において、唯一成長を続ける巣鴨を舞台にしたSFコメディ。終始緊張した面持ちで、スクリーンの傍から会場を見守っていた高島監督。「お客さんの反応が気になっていたので、(緊張しすぎて)呼吸しなかったんじゃないかっていうくらい、あっという間に過ぎちゃいましたけど、でも笑っていただけて本当に良かったなっていう感じで、今感無量です。この笑い声を糧に、また明日から活動できるなっていう感じです」と、上映後には笑顔を見せていました。

  • 高島監督による舞台挨拶。
  • コメディ作品だけに、場内は笑いの渦に。
  • 上映中の作品。
  • 緊張の面持ちで見守る高島監督。

次に上映されたのは、林監督による『浅草スマイル』。夫婦漫才コンビ「浅草スマイル」のマルオとすみれの成功と挫折を描いたドラマ作品。応援に来ていた友人たちや観客と客席から観ていた林監督は、「とても楽しかったです。このような機会をもらえて良かった。次の作品も頑張りたいと思います!映画ってこれだから好きなんです!」と、熱い気持ちをとても嬉しそうに語ってくれました。

  • 林監督による舞台挨拶。
  • 場内は笑いあり、涙あり。
  • 上映中の作品。
  • 最後は主人公を見守る気持ちに。

こうしてあっという間に2本の映画が上映され、いよいよ最後となったのは『大津 city 今恋心』。1970年代後半、関西を中心に熱狂的な人気を博したバンド「誰がカバやねんロックンロールショー」のボーカル・ダンシング義隆を中心に、人気の絶頂期に解散したメンバーの現在の姿を追ったドキュメンタリー作品。

野外上映は夢でもあったと言う太田監督。「予想以上にたくさんの方がこの映画祭に観に来てくださっていて、しかも海の側で自然に囲まれた絶好のロケーションの中、上映させてもらって本当に嬉しかったです。制作に4年間もかけてきた映画で、まだ他にも多くの素材があるので、短編映画にとどまらず長編映画として、来年以降、さらに完成度を高めて製作していきたいなと思っています」と上映を終えての気持ちを教えてくれました。

  • 太田監督による舞台挨拶。
  • 夜も更け、闇に浮かぶスクリーン。
  • しんみりと涙を誘う展開に。
  • 観客席の側で見守る太田監督。

「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」1日を終えて

これからの日本映画を切り拓く映画監督を、みんなで応援していけないだろうか────そんな願いのもと、CINEMA CARAVANと、城ヶ島の人たち、そしてこれからの日本の映画界を担う若手映画監督3名の想いが重なって実現した、一日限りのスペシャルなイベント。

全てのプログラムを終え、CINEMA CARAVAN代表の志津野雷さんにお話を聞けた。「こんな素晴らしいロケーションで、地元の人たちも一緒に盛り上げてくれて、最高の1日になった。 これからの日本映画のために、自分たちがサポートできることはいつでも喜んでやっていきたい」興奮冷めやらぬ様子で、大きな満足感とともに力強く語ってくれました。

  • 上映を終えたスクリーン
  • CINEMA CARAVAN代表の志津野雷さん

日中は様々なアクティビティを楽しみ、開催地の美味しい食材を使ったフードを味わいながら、日没とともに波音と星空を背景に映画の世界を堪能する。

ただ映画を観るだけでなく、五感をフルに使って楽しめる空間は、映画好きの人はもちろん、そうでない人も丸一日を思いきり満喫し、訪れた人同士で様々な情報交換をして、素敵な体験を共有し合える場でした。誰もが参加できて、新たな人や文化などのたくさんの出会いとも引き合わせてくれる「星降る町の映画祭」。会場を後にする人たちに話を聞くと、皆さん口を揃えて「来年もやるなら、またここで会いたいですね!」とおっしゃってくれました。